ピッチに立ち続ける彼は眩しい。たくさんの人がその舞台に憧れ、そしてそこにたどり着くことなく、その舞台を、遠くから見つめている。ここから見つめている。この目もその舞台を見つめている。憧れを諦めた寂しい目は、ここにある。
そしてまた、たくさんの人がその舞台から去り、去っていく彼らの落とした影が、舞台の中に長く長くのびる。光は、影を生む。それならば、この長くのびた影は、反対に光を生むのだろうか。その光は、影から生まれたのだろうか。
影があるからこそ、そこに光があると認識するのだろうか。いや。そうではない。その光は自ら燃焼し、熱を放ち、光を放ち、輝き続けている。ピンク色のスーツに、洗練された肉体を包んでいる。
その光は、気の遠くなるような努力と、メンテナンスによって輝き続けている。それはもはや個人のものを凌駕しているかもしれない。さまざまな要因を彼が支え続けているからこそ、輝き続けているのかもしれない。ここからは見えないその努力や苦痛や背景を想像するたびに、そこに、敬意を抱かずにはいられない。
そして、彼が、手を高く上げる。彼が、手を、振る。その手に勇気を見つける。やはり、進み続けなければいけない、と思う。
2017.3.2 him&any
©2017 him&any
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