遠くの空に雲が見えた。
地平線の上にふわりと浮いて底面はペッタンと平ら。
そこからもくもくと積もって浮かんでいた。
積乱雲になるほど大きくはなく。
そんな雲が横にいくつか連なっていた。
空の色はうっすらとした水色で
誰かが青を薄めたような色合いだった。
車のフロントガラスの向こうの
遠くの空に見えた。
何だかアニメーションの映画のような空だ。
いやむしろ、
アニメーションがこちらの世界に寄ってきたんだろう。
アニメーションの中の空が
まるで現実の世界のような空になったんだろう。
そういえば
奇しくもその景色は
あの映画の舞台となった土地の空だ。
そのアニメーションにはその世界の表現としての空があり、
別の外国アニメーション映画には、また別の、
その世界の空があり。
この世界にはこの世界の空がある。
それぞれの表現は否定など必要なく
積極的な肯定も必要なく
ただそれがそれであることをどこまで
受けとることができるのだろうと
考えながらハンドルを切り
雲は見えなくなった。
2017.8.13 him&any
©︎2017 him&any
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