ASKAの「止まった時計」という曲が好きである。
わりとスローテンポなバラード(?)であるが
なんだか神秘的で幽玄な雰囲気のイントロから始まり
オーケストラ(?)のようなアレンジが
ぐうっと心をもっていくように感じるのである。
特に後半の最後のサビあたりのもっていくパワーはものすごい。
ASKAの独特の「ぅぅわぁぁぁああ」という感じの
歌声によるもっていくパワーとストリングスが重なって
「もっていかれる」のである。
ちなみにイントロがけっこう長くて
歌が始まるまで約1分20秒。
これを長いと感じるかどうかであるが
このイントロをジックリ聴くことでASKAの歌いだしの第一声に
すーっと入っていくことができるのだと思う。
第一声の歌詞の内容的にもこの長いイントロは意味を含む気がする。
なのでこのイントロは「必要」で「必然的」な長さなのだと思う。
これはたぶん「ものすごく長い小説」を読むときの気持ちに
近いかもしれない。
小説世界の内容の良し悪しはもちろんではあるが、
その「長い小説」の場合は、「長さ」が重要なので、
その「長さ」を読者として「通過」することで
目にすることができる世界があるのである(たぶん)。
歌詞の内容は恋愛の歌詞であると思う。
もしかしたら恋愛という設定を借りたもっと別の
意味があるのかもしれないけどそれは私には分からない。
たぶん女性目線での恋愛に関しての歌詞だと思うけれど
それを女性が聴くと確かにそうだねと思うのだろうか。
あるいはもっとあっさりしているよと思うのだろうか。
これだけ時間と心を費やして聴く曲であるということは
夜にじっとり聴くのにとても良い曲なので、
忙しい時にサクッとサビまで聴きたいような気持ちの時は
あまりセレクトされない曲である(私の中で)。
この曲は「SCENE2」というアルバムに収録されている。
調べてみたら1991年。CHAGE&ASKAの「SEY YES」という曲が
爆発的にヒットした年でもあるらしいので、
おそらくASKAのソロアルバムの中では一般的な認知度も
高いかもしれない。
このアルバムには他にもいい曲が多い。
私の人生においてもときどき「止まった」期間があるように思う。
今はたぶんその中にいる気がする。
ASKAの歌う「止まった時計」の歌詞の意味とはズレるだろうけど
自分の人生の中の「止まった時計」期間も人生の一部であるし
人生の波の一部なのだ。波は上下するから波であるのだ。
低く下がって停滞する期間があり、
前に進みながら浮上する期間があるのだ。
その両方を合わせたものが波である。人生もそれに等しい(と思う)。
私の中の「止まった時計」も大事にして生きていくのである。
2018.4.18 him&any
©2018 him&any
拝見しました。
返信削除私もこの歌が大好きでよく聴いています。
特に「ずっとずっと繰り返すばかりだもの。あなたと私は」という歌詞と止まった時計という言葉の意味が重く心に響いてきます。
書かれているように、女性側からの気持ちを歌詞に表しているのでしょうか。
皆さん色々な思いを持って生きているんですね。
コメントありがとうございます。
削除久しぶりに聴いてみました。
「止まった時計」が「胸の隅で揺れた」のを
「手をそえながら止めた」と歌っている歌詞がありました。
「手をそえながら」という部分に
何か込められている気持ちを感じました。
乱暴にでもなく無造作にでもなく、
そっと手をそえながら、でも、揺れたままにはせず、
止めた。
その仕草の中に現れる気持ちというか、
言葉にではなく、しぐさの中に含まれる気持ちというか。
そういうのが深く染み込んでくる気がしました。
聴くときどきで、また違ったところに惹かれる
素敵な歌だと思います。
好きな歌のいいところに
再び触れることができた素晴らしい夜になりました。
ありがとうございます。